2024年(令和6年度)最新版 虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)を開催しました①!

虐待対策検討委員会

 皆さん、こんにちは。元有料老人ホームの施設長を担当していた税理士・行政書士の山田勝義です。

今回のブログでは「2024年(令和6年度)最新版 虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)を開催しました①!」という題名でブログを書きたいと思います。

令和6年度介護報酬改定では、ほとんどの介護サービス事業者に対して令和6年4月1日から「高齢者虐待防止未実施減算」が実施されました。今回の介護報酬改定でも様々な項目に経過期間が適用されていますが、この「高齢者虐待防止未実施減算」については、「経過期間の適用は一切無い」ということに注意を要します。

さて、私のクライアントの皆様の事業所では、すでに私からの資料提供のもと、「虐待対策検討委員会」を実施しています。そして、私は様々な場所で介護保険関係の研修を開催していますが、この虐待対策検討委員会では、どのような内容の話をしたらよいのかという質問をよく受けます。

こうしたことから、今回のブログでは「2024年(令和6年度)最新版 虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)を開催しました」と銘打って、実際に私が主導のうえ開催した虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)における議事録や資料の一部をお知らせしようと思います。

これは、私たちが当該委員会で議論した内容をお示しすることにより、多くの介護サービス事業者の皆さんが実際に虐待対策検討委員会を開催するうえでの「呼び水」になることが大きな目的です。

では、早速本題に入ります。

まず「虐待の類型」を確認しよう!

「虐待」という言葉から推測すると「相手を叩く、蹴る」というというものが虐待(身体的虐待)であるということは、誰しも理解を得ることができると思います。

 本項では、この虐待についての類型を確認します。一般的に虐待には、以下の①~⑤の類型が存在します。

身体的虐待
利用者の身体に外傷が生じ、または生じる恐れがある暴行を加えること。

【具体例】
殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、ヤケドを負わせる、溺れさせる、異物の飲ませる、首を絞める、一室に拘束する

性的虐待
利用者にわいせつな行為をすること、または利用者にわいせつな行為をさせること。

【具体例】
利用者への性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする

ネグレクト
利用者の生活を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、利用者の同居人による身体的虐待・性的虐待・心理的虐待と同様の行為の放置、その他監護を著しく怠ること。

【具体例】
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車内に放置する、重い病気となっても病院に連れて行かない

心理的虐待
利用者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、利用者が同居する家庭における配偶者に対する暴力等、利用者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

【具体例】
言葉による脅し、無視、差別的扱い、目の前で家族に対して暴力を振るう

経済的虐待
高齢者の財産を不当に処分すること、その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

【具体例】
日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない、本人の自宅等を無断で売却する、年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する

虐待という言葉の意味は分かるが本当に「虐待の線引き」できていますか?

よく新聞報道等で、高齢者施設等での虐待に関する報道がなされることがあります。このような報道を耳にすると私の周囲でも「あり得ない」というような発言を聞くことがあります。

この周囲の反応は「正しい反応」であり、多くの介護事業者は介護サービスを提供するうえで利用者に対する虐待を厳に戒め、サービスの提供を行ってことだからでしょう。

でも、実際が虐待は悪いことと分かっていても虐待が発生しています。

まず前提として、「どのような理由があろうとも決して虐待は許されるものではない」ということを、私はハッキリと申し上げておきます。

そして、虐待または虐待を受けた恐れのある利用者を発見したのであれば、事業者は速やかに「利用者の保護」「行政機関を含む関係機関への連絡」を行うことが必要です。

私自身、多くの介護事業者や障害事業者の顧問に就任しており、様々な虐待に該当するようなケースを目にすることがあります。

こうした時、事業所において聞取りや、それに関与した職員に対する面談を行うことがあります。

そうすると、大まかに以下のア・イに以下のような事例に分かれることが多いのです。

【大まかな事例の分類】

ア 職員が利用者に対し「虐待だと認識している」。

イ 職員が利用者に対し「虐待だとあまり認識していない」。

実際、上記アのようなケースであれば、様々な理由により虐待を起こした職員自身が、「自分が虐待を行っていると認識している」のですから、これはその職員に自分は「悪いことを行っている」という認識があるのです。これが前提となるので、事業所としても、その後の対応も行いやすいのです。

繰り返しになりますが、一般的に「虐待」という言葉から推測すると「相手を叩く、蹴る」というというものが虐待(身体的虐待)であるということを否定することは無いでしょう。

しかし、前項に説明した①~⑤に該当するような事例は虐待であり、たとえ虐待または虐待の恐れがある行動を取っている職員が「虐待を行っているという認識が無くても」これは虐待に該当するのです。

では、なぜ上記イのようなケース、つまりその職員が「虐待を起こしているとの認識が無い」というようなことが起こるのでしょうか?私が今までに関わったケースや面談で以下のようなことがその理由なのではないかと感じています。

【上記イのようなケースが生じる理由】※本人に虐待を行っている認識があまり無い場合

A 自分の家族として接したつもり(利用者を叩く)
B ふざけてやった(認知症の利用者に卑猥なことを行わせる)
C ふざけてやった(利用者を「あだ名」で呼びバカにする)
D 時間が無いからやった(利用者を閉じ込める)
E お金を借りた(利用者と仲が良いからお金を借りた)

 上記A~Eのような理由の場合には、その職員本人に、どのような事象が虐待に当たるのか、「虐待の線引き」がハッキリ理解していないこともひとつの理由でしょう。

加えて、虐待に関する考え方や範疇が「時代とともに変化している」と言う点も見逃せません。

 そして、抽象的ではありますが、そもそも人間として生活していくことについて「基本的に尊重されるべきである」という概念が弱いことも基礎的な理由のひとつなのでしょう。

 こうしたことから、令和6年度介護報酬改定では事業者は、「高齢者虐待防止措置未実施減算」の適用開始をきっかけとし、高齢者虐待防止に対する取組を強化することが必要です。

「高齢者虐待防止措置未実施減算」について単位数・算定要件等を確認しよう

すでに令和6年4月1日から令和6年度介護報酬改定として介護事業のほとんどの類型には、「高齢者虐待防止措置未実施減算」が適用開始されています。

早速、事業者は「高齢者虐待防止未実施減算」について、令和6年4月1日から何をしなければ介護報酬に減算が科されるのか」について、単位数・算定要件等を確認しましょう。

【算定要件等】

 虐待発生又はその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合に減算する。

ア 虐待の発生のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業員の周知徹底を図ること

イ 虐待の防止のための指針を整備すること

ウ 従業員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

エ 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

 実は、今回の介護報酬改定には特徴がありますが、その中でも顕著なのは様々な義務やこれに伴う減算に「経過期間が適用されている」ケースが非常に多いということです。

繰り返しとなりますが、この「高齢者虐待防止未実施減算」について、「経過期間の適用が一切無し」、つまり、「令和6年4月1日」から本適用となるということです。

 そして、「高齢者虐待防止未実施減算」には「経過期間の適用が一切無い」のです。つまり、来週に行政機関により運営指導や監査が実施される場合、この対策ができていなければ事業所として減算が適用されるのです。

「高齢者虐待防止未実施減算」の算定要件等について詳細に確認しよう

 次に、この「高齢者虐待防止未実施減算」が適用される算定要件等を、ひとつひとつ確認をします(つまり、「事業所として高齢者虐待防止未実施減算が適用されないようにするための要件」を丁寧に確認します)。

 この「高齢者虐待防止未実施減算」が適用される場合、以下のア~エ(算定要件)について、虐待発生又はその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合、減算されることとなります。

ア 虐待の発生のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業員の周知徹底を図ること

 要件アについて、事業所が行うことは以下のとおりです。

・虐待の発生のための対策を検討する委員会(虐待防止委員会)を定期開催
・当該委員会は「テレビ電話装置等」による活用可能
・議事録の作成、参加者名簿の作成
・当該委員会の内容を議事録等で職員に周知徹底を図る

 なお、当該委員会について「定期的に開催する」と記載されていますが、その回数は記載されていません。

介護保険制度の様々な要件で明確にその期間が指定されている場合は、「毎月」、「3か月に1回」、「年に1回」と示されている場合が見受けられます。

よって、私が運営に関わっている事業所では、こうした「定期的に開催する」という判断は、「3か月に1回」若しくは「6か月に1回」として指導しています。

イ 虐待の防止のための指針を整備すること

 要件イについて、事業所が行うことは以下のとおりです。

 ・虐待防止に関する指針を整備する
 ・上記指針を整備するだけではなく、これに基づき虐待防止に関する取組を運用開始する

 なお、上記指針の整備についてですが、つい何か「指針の整備」というと、「最初からすごく完璧な指針を作成することが必要だ」と思ってしまいますよね。もちろん、事業所として、虐待に対する気づき、虐待発生時の報告・手順・手続きを明示することは大切です。

しかし、この指針は事業所運営を通じて様々な具体的な事例や虐待防止員会での議論を通じて、より実効性のある指針として継続的に改訂されていけば良いのだと思います。

ウ 従業員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

 要件ウについて、事業所が行うことは以下のとおりです。

 ・従業員に対し虐待防止の研修を開催する
 ・上記研修を定期的に実施する
 ・研修資料の保管、参加者名簿の作成

 ここにも研修を「定期的に実施」と記載されていますが、これについては次項の「実施上の留意事項について」明示されているとおり、「高齢者虐待防止のための年2回以上の研修を実施」することが必要です。

また、虐待防止委員会と併せる形で開催すると「研修開催忘れ」を防止することができると思います。

エ 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

 要件エについて、事業所が行うことは以下のとおりです。

・要件ア~ウを実施させるための担当者を置く

 上記のとおり、上記要件ア~ウを実施させるために担当者を配置するということです。

 よって、令和4年4月1日以降、事業者は要件ア~エの措置が講じられていないと「高齢者虐待防止未実施減算」が適用されるということなのです。

言い換えると、事業者としては「高齢者虐待防止未実施減算」を回避するためには、上記要件ア~エの措置が講じられることが必要であるということなのです。

「虐待対策検討委員会」についての議事録を掲載します。

冒頭でも説明しましたが、私のクライアントの皆様の事業所では、すでに私からの資料提供のもと、「虐待対策検討委員会」を実施しています。

反面、「この虐待対策検討委員会では、どのような内容の話をしたらよいのか」という質問をよく受けるのです。

こうしたことから、本項では、実際に私が主導のうえ開催した「虐待対策検討委員会」における議事録を以下のとおりお示しいたします。

これは私たちが当該委員会で議論した内容をお示しすることにより、多くの介護サービス事業者の皆さんが実際に虐待対策検討委員会を開催するうえでの「呼び水」になることこそが大きな目的なのです。

 では、その議事録を以下に示します。

 【サンプルの議事録素材はこちらからダウンロード可能です。】

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令和6年●●月●●日
▲▲▲事業所
書記 ●● ●●

議事録(虐待対策検討委員会)

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日時 令和6年●●月●●日(月) 午後1時00分~
場所 ▲▲▲事業所 事務所
参加者 鈴木管理者、佐藤、田中、山田(書記)
内容 職員と利用者との関係、問題(虐待の可能性)があった場合の対応について

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1.職員の利用者に対する言葉遣いはどうか。
 鈴木管理者より、日頃から利用者に対する言葉遣いの指導を行っている(「さん」つけ)。親しみも大切であるが、そこからお互いの人間関係が崩れる場合がある。
 この部分は、事業運営の中で繰り返し、指導していく。

2.現在まで従業員と利用者との関係で虐待となるようなケースは無いか。
 現時点、従業員と利用者との関係で虐待となるようなケースは生じていない。今後、虐待が疑われるようなケースが生じた場合は、速やかに本社に報告する。こうした状況が生じた場合は外部の専門家の活用も検討する。

3.職員と従業員との相性が悪い場合の対応について。
 現時点も、従業員と利用者の相性が悪い場合は適宜、担当を交代している。虐待が起こり得る状態は「1:1」となるような状況の場合に生じる可能性が高くなる。こうした状況とならないような仕組み作りも検討していく。

4.問題(虐待の可能性)があった場合の手続き、手順について。
 他社における虐待発生の事例を確認する。実際に虐待が疑われるようなケースが生じた場合は、速やかに本社に報告、そしてその事実を行政機関に報告する手順を徹底することを確認する。

5.今回の法改正の確認
 令和6年度介護報酬改定において「高齢者虐待防止措置未実施減算」が実施された。この減算に係る算定要件を確認するとともに、事業所として行わなければならない義務を確認した。

【事業所としての義務】
ア 虐待の発生のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業員の周知徹底を図ること
イ 虐待の防止のための指針を整備すること
ウ 従業員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
エ 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

【事業所としての今後の対応】

ア 委員会は年3回開催(今回実施。次回は7月を予定)
イ 虐待防止の指針の整備(指針を作成完了)
ウ 虐待防止研修は年2回開催予定(今後、7月と翌年2月開催予定)
エ 担当者(佐藤管理者)

以上

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まとめ

 今回のブログのテーマは「2024年(令和6年度)最新版 虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)を開催しました①!」としてブログを書いてみました。

今後もこのブログでは継続的に、事業所で「虐待対策検討委員会(虐待防止委員会)」を開催し、議論した内容を議事録とした提示していこうと考えています。

最後にご確認頂きたいのが、この「高齢者虐待防止措置未実施減算」について、「経過期間無し」に加え、以下の事項について再確認をお願いします。

「高齢者虐待防止措置未実施減算」は施設において高齢者虐待が発生した場合は減算を算定する要件ではないのです。あくまでも「虐待発生又はその再発を防止するための措置が講じられていない場合に減算する」ということです。

この点について本ブログを参考に、事業者として対策を講じる必要があるのです。
今回も本ブログをお読みいただき、ありがとうございました。引き続き事例等を交えながら深掘りしたブログを書いていこうと思います。

それでは次回のブログもお楽しみに。