2024年(令和6年)最新版 実地指導(運営指導)対策はできていますか?

運営指導、監査、立入検査

 令和6年4月1日、令和6年度介護報酬改定(一部別の時期に改定)・障害報酬改定が行われ、事業者の皆様もその準備や対応に追われていたことと思います。

 さて、年間を通じて運営指導が行われやすい時期というものがあります。現在その時期に差し掛かりつつあると思います。現に全国の私のお客様の事業所からも多くの相談が寄せられていることが、ひとつの証拠です。

 さて、今回のブログでは、介護報酬改定後、ここから運営指導が増加していくことに伴い、事業所としてどのような対策を講じていくことが必要なのかを分かりやすく説明したいと思います。

 なお、このブログの内容は障害事業者の方にも役立ちますので、ぜひ介護保険事業という文言を読み替えて参考にしてください。では、早速本編に入りましょう。

※「実地指導」・・・現「運営指導」と言います。

運営指導対策を手っ取り早く知りたい!

 実際に行政機関(指定権者)から事業所に運営指導の通知がなされると、すぐ介護保険事業の運営指導に関する本やブログを閲覧、参考にしようと考える方々が多いと思います。

そして内容を確認すると、やたら介護保険法の法律や基準の根拠条文が丁寧に記載されており、長々と運営指導や監査の手続きを書いています。

これ確かに、事業所の新規開設時や平時における介護保険法の研修であれば有用なのだと思います。しかし、「来月に運営指導が行われる」という時間が無い状況で、このような原理原則を説明されても正直困りませんか?

では、なぜ、こうなるのでしょうか?そのひとつの理由として、これらの本やブログを書いている方々は、実際に運営指導を経験したことが多く、形式的な法律、基準や手順という部分が、やたら長くなってしまうということだと思います。

だからこそ、私は正直以下のように考えています。

「今、何をすれば良いのか運営指導対策を手っ取り早く知りたい!」

 私自身も、今まで本やブログでこうした法律、基準や手順を前提とした内容のものを書いてきました。

そして今回のブログでは事業者として「運営指導において手っ取り早く準備する手立て・方法」を意識しながらブログを書きます。

実地指導(運営指導)と監査は別物です

 まず、実地指導(運営指導)と監査について以下のとおり、しっかりと確認しましょう。

運営指導とは、行政機関(指定権者)から事業者に対する個別指導であるということなのです。これを厳密に言うと以下のとおりです。

運営指導とは、介護保険法第23条又は第24条に基づく権限により、行政機関が情報収集するため介護保険施設等から提出された関係資料等に基づき、当該施設等の事業の運営状況や法令等への適合状況について説明を受け、内容確認を行うもの。

 また、 監査とは、介護保険施設等において重大な問題点が生じている場合、法に基づき情報収集や現地での立入検査を行い、行政処分の前提となる事実関係を確認する行為です。これを厳密に言うと以下のとおりです。

監査とは、介護保険施設等監査指針に基づき、介護保険施設等において、主に以下のような問題点が生じている恐れがある場合、介護保険法第76条等に基づき、報告、帳簿書類等の物件の提示を求め、関係者の出頭、質問を行うことにより情報収集するとともに、現地に立入り検査を行い、事実関係を確認する行為。

つまり、「実地指導(運営指導)と監査は全くの別物!」です。

よく行政機関(指定権者)から、実地指導(運営指導)の実施についての連絡があると、事業者の方々の中には、実地指導(運営指導)のことを、「監査が来た、監査が来た」と言う言っている方々がいますが、これは「全く別物」です。

つまり、運営指導は事業者に対する「あくまでも個別指導」であり、監査は事業者に対する「行政処分が前提」となることからも、その意味合いが全く違うのです。

この前提が間違っていると、事業所としてもその対応を間違ってしまいます。

繰り返しにはなりますが、「実地指導(運営指導)と監査は別物」ということを、本項では理解してください。

実地指導(運営指導)が実施される理由を理解しよう

 よく、私のお客様から「実地指導(運営指導)の連絡が来ましたがどうしましょう?」と連絡が入ることがあります。

私はお客様の回答では、「事業所で日頃から介護保険関連法令に基づき、人員基準や運営基準に沿った運営が行えていれば、全く問題ないでしょう。」と答えています。つまり、日頃の事業運営に問題がなければ、実地指導(運営指導)における大きな指摘事項や返戻等も生じないものです。

では、なぜ行政機関(指定権者)は、実地指導(運営指導)を実施するのでしょうか。こう言うと、実地指導(運営指導)の根拠として「運営指導は、介護保険法第23条又は第24条に基づく~。」となってしまいます。確かに、厳密に言うとそのとおりですが、繰り返しになりますが実地指導(運営指導)の実施する趣旨は以下のとおりです。

「行政機関(指定権者)による事業者に対する個別指導です!」

 かみ砕いて言うと、事業所の皆さんは行政機関(指定権者)が定期的に実施している「集団指導」に参加されていると思います。これに対し、行政機関(指定権者)が事業所に実際に赴いて「個別指導」することこそが「実地指導(運営指導)」なのです。

 また、実地指導(運営指導)は、「事業所指定を受けで概ね一年を目途」また、「事業所指定更新期間内を目途に」に実地指導(運営指導)が実施されることが多いのですが、それには以下のような理由があります。

「事業所開設・指定更新が行われ、人員・運営体制や介護報酬に関する書類整備等が適切に行えているかを行政機関(指定権者)が確認し、早期に適切な事業運営が行えるように個別指導を行うこと。」

 このように実地指導(運営指導)が、監査と異なり、あくまでの「個別指導」なのだということが理解できたのではないでしょうか。次項では、事業者として運営指導で具体的に何を注意しなければならないのかを説明します。

実地指導(運営指導)で事業者が一番注意すべきこと

 前項までで、実地指導(運営指導)は「個別指導」であることが理解できたと思います。次に、この実地指導(運営指導)で事業者が一番注意すべきことを挙げたいと思います。

 実地指導(運営指導)が「個別指導」であるならば、行政機関(指定権者)が「事業所に個別に教えてくれる(指導)」というのですから、殊更緊張する必要はないはずです。また、実地指導(運営指導)を行う当の行政機関(指定権者)も「あくまでも事業者に対する個別指導なので言動や立ち振る舞いには注意するように求められている(つまり、横柄な態度は許されないということ)」のです。

 では、私は、過去実地指導(運営指導)は300件以上、また数多くの監査に立ち会った経験がありますが、事業所の皆さんは実地指導(運営指導)の一体何に緊張するのでしょうか。

それは、例えば実地指導(運営指導)で行政機関(指定権者)から、以下のような内容を指摘されたらどうしようと思っているからではないでしょうか。

★実地指導(運営指導)で指摘されたらどうしようと思っていることの例

 ・介護関係記録の書類作成が十分ではない
 ・介護報酬の算定が不正確な部分があるかも知れない
 ・人員体制や運営体制に不十分な部分がある

 上記例の程度によりますが、実際に実地指導(運営指導)では行政機関(指定権者)から、以下の指摘事項の例のようなケースを受ける場合が多いと思います。

★実地指導(運営指導)での指摘事項の例

 軽微な指摘事項であり口頭指導
 ・指摘事項として改善と改善報告書の提出
 ・不備の箇所を自己点検のうえ必要に応じて返戻

これには理由があり、あくまでも実地指導(運営指導)は、行政機関(指定権者)による「個別指導」の範疇であり、行政処分を前提としたものではないのです。もちろん事業者として、このような指摘を受けないことに越したことはないのですが、実は、事業者として一番注意しなければならないことがあります。それは「その指摘事項の内容が行政処分を前提とする監査実施に該当するような内容でないこと。」です。

つまり、事業所に対して実地指導(運営指導)としての個別指導が実施されたにも関わらず、 事業所運営が著しく適切に行われていない、つまり個別指導の範疇には到底収まらないような運営内容(不正・虚偽)とならないこと、言い換えるならばこれにより「行政処分を前提とした監査実施とならないこと」こそが非常に重要なのです。

 言い換えれば、日頃から事業所運営や書類作成を上記のように疑われるような状況にしないことこそが、事業者が一番注意すべきことなのです。

 このように書くと「具体的に書いて欲しい」という声もあると思いますので、参考までに、事業所運営が著しく適切に行われていないと判断される可能性が高い具体例を以下に記載します。

★事業運営が著しく適切に行われていない例(監査実施に該当)

虚偽・不正請求(介護記録を一切作成しておらず、介護サービスを提供している証拠が無い)
虚偽・不正請求(例:介護報酬の算定要件に合致せず、作為的かつ不正に介護報酬を請求している)
虚偽・重大な運営基準違反(勤務実態が無い等、人員体制の不備(人員要件・資格要件)が著しく、作為的である)
高齢者虐待事案がある場合(例:虐待を行っている事実がある)
人格尊重義務違反がある場合(例:身体的拘束の手順を適切に行っていない)

 事業所への実地指導(運営指導)が行われ、不幸にも上記のような事例が事業所で生じている場合、「個別指導」の範疇に止まらず、間違いなく行政処分を前提とした「監査」が実施されます。

 いずれにせよ、まずは介護保険関連法令を遵守した適切な事業運営を行うことが大切です。

そして実地指導(運営指導)が実施されるにあたり、事業運営は、上記「★事業運営が著しく適切に行われていない例(監査実施に該当)」を挙げたような状態にしていないことが重要です(そもそのこのような事態は適正な事業運営としてあり得ませんが・・・)。

 最後にまとめると以下のとおりです。

「虚偽・不正・虐待」がある時点で行政処分を前提とした監査実施は当然だ!

実地指導(運営指導)で指摘事項を受けやすい具体例

 前項では、実地指導(運営指導)を受けるにあたり、事業所として一番注意すべきこと、つまり「行政処分を前提とした監査が実施されるような状況にしないこと」について具体例を交え、説明しました。

 そもそもほとんどの事業所は、適切に介護保険事業の運営を行っていることを、私は理解しています。それにも関わらず、このように説明するのは実地指導(運営指導)が、あくまでも「個別指導」であり、殊更恐れる必要はないにも関わらず、一部の事業者の方々が過敏になり過ぎている側面があるのではないかということから、このような事例を挙げたのです。

 本項では、実地指導(運営指導)として指摘を受けないためにどうするのか、という点を挙げたいと思います。

 先ほども挙げたのですが、実地指導(運営指導)を通じて行政機関(指定権者)から、以下のような内容が指摘されやすい部分があるのではと感じているのではないでしょうか。

★実地指導(運営指導)で指摘されたらどうしようと思っていることの例(再掲)

介護関係記録の書類作成が十分ではない
介護報酬の算定が不正確な部分があるかも知れない
人員体制や運営体制に不十分な部分がある

 では、ここでは参考までに実地指導(運営指導)において指摘されやすい具体例を以下①~④のケースに分類して記載します。

 ★実地指導(運営指導)において指摘されやすい具体例

①人員・運営関係
 職員の雇用契約書・資格・勤務体制との齟齬
 ・契約書・重要事項説明書・運営規程の管理

②介護報酬関係
 ・介護記録関係に不備が多い
 ・介護報酬の算定要件の要件不一致
 ・介護報酬の加算算定している場合の算定要件・記録(加算はより厳しい)
 ・介護職員等処遇改善加算関係

③高齢者虐待防止、身体的拘束関係
 高齢者虐待に関する取組を適切に行っているか(研修・委員会開催等)
 ・身体的拘束に関する取組を適切に行っているか(研修・委員会開催等)

④苦情関係
 利用者からの苦情があった方の介護記
 ・行政機関に苦情が持ち込まれた方の介護記録

まとめ

 このサイトを開設して1年1ヶ月が経過しました。最初は、介護事業者を対象とした「運営指導・監査・立入検査」というカテゴリーからブログを書き始めました。

 いまや介護事業者、障害事業者を加え、事業運営に関する様々なカテゴリーのブログを通じて事業者の皆様に情報提供を行うことができるようになってきました。これも日頃から私のサイト「介護・福祉・行政対応のエキスパート」やブログをご覧いただいている皆様のお陰だと思っております。

 そして、いざブログを書くとなると、つい私も「より原則に従い、間違いないように」と意識し過ぎてしまう。

そうすると結果、ブログの内容は自体は合っているんだけど、このブログを読んでいる事業所の担当者からすると、このような難しい原理原則をここで説明されても正直困ります。つまり「内容が難しすぎてチンプンカンプン」ということが起こってしまうのです。

現に、この「実地指導(運営指導)」というキーワードで検索しているということは、すでに行政機関(指定権者)から「実地指導(運営指導)の実施についてのお知らせ」が事業所に到着した状況なのかも知れません。

だからこそ、今回のブログでは「2024年(令和6年)最新版 実地指導(運営指導)の対策はできていますか?」というテーマで、以下を心掛けて書きました。

「今、何をすれば良いのか運営指導対策を手っ取り早く知りたい!」

 事実、このブログには実地指導(運営指導)に関する法律・規則の説明はほとんど無く、逆に事業所として「意識できること」、「対応できること」を以下のとおり書きました。

★事業所として「意識できること」、「対応できること」

 実施指導(運営指導)は個別指導
 ・実地指導(運営指導)と監査の違い
 ・実地指導(運営指導)で一番注意すべきこと、それは「監査」とならないこと
 ・実地指導(運営指導)で指摘事項を受けやすい具体例

 私が思うに、そもそもほとんどの事業所は、適切に介護保険事業の運営が行われていると思います。よって実地指導(運営指導)を殊更恐れる必要はありません。

しかし、それでも実地指導(運営指導)が「心配で、心配で」という事業者の方々がいらっしゃるようであれば、遠慮なく私の事務所にまでお気軽にご相談ください(相談は無料です)。

私は、元政令市の法制担当であり、高齢者施設・介護事業者としても実地指導(運営指導)の対応経験は、過去18年間に渡り、多くの介護現場でも、またコンサルタントとしても、すでに約300件を超え、また数多くの監査対応を経験しております。

加えて、介護施設・障害者施設の顧問として、虐待関係の問題や身体的拘束関係の問題につきましても、行政対応・委員会・研修等につき、数多く対応しています。

事業者の皆様からのご相談をお待ちしています。

では、今回のブログを終わりたいと思います。また、次回以降のブログもぜひ楽しみにしていてください。