皆さん、こんにちは。元有料老人ホームの施設長を担当していた税理士・行政書士の山田勝義です。
前回のブログでは、「令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務には2種類あります!」としてブログを書きました。介護事業者の皆さんも、介護サービス事業者の情報公表に関する義務に以下の2種類あること、そして目的は理解できたと思います。
A 介護サービス事業者の「経営情報の調査及び分析等」
B 介護サービス情報公表制度における「財務状況の公表」
今回のブログでは、上記Aの「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」の話をしたいと思います。前述のとおり介護サービス事業者の情報公表に関する義務は2種類あることや目的については前回のブログに譲り、このブログでは「事業者が何を対応しなければならないのか」に焦点を当て、説明していきたいと思います。
では、早速次項からAの話から説明していきましょう(Bの話は次回ブログにて)。
「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」で事業者がやること!
本来ならば、丁寧に説明していくことが正しい説明方法かもしれません。しかし、事業者のみなさんは忙しいのです。「手っ取り早く知りたい!」というのが、みなさんの気持ちでしょう。
よって、分かりやすさを最優先し「事業者は何をしなければならないのか?」を、順番に説明します(①~⑦)。
【事業者がやること!】
①GビズIDアカウントの作成
「介護事業財務情報データベースシステム」へのログインに際し、GビズIDアカウントが必要。
②報告の単位
原則、介護サービス事業所・施設単位で行う。
事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合など、やむを得ない場合については、法人単位で報告しても差し支えない。
③報告対象となる事業所・施設
原則、全ての介護サービスを対象。
(注1)「居宅療養管理指導」、「介護予防支援」を除く。
(注2)原則、「みなし指定」の保険医療機関等についても本制度の報告対象である。
④報告の対象となるサービス方法
原則、介護サービス事業に係る事項のみを対象。
ただし、医療・障害福祉サービスに係る事業を併せて実施している場合で、当該サービス等に係る収益や費用について、介護サービスとの記載が区分されていない場合には、当該事業に係る部分について、除外せずに報告しても差し支えない。
⑤報告する内容
以下の通知「別紙1」に掲げる事項で「任意項目以外の項目」を報告。
「介護保険法第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査および分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について」における「別紙1」に掲げる事項。
⑥報告方法
厚生労働省の運営する「介護事業財務情報データベースシステム(仮称)」により行う。
⑦報告時期、報告期限
この法改正の施行日は「令和6年4月1日」。なお、報告時期・報告期限については、次項で説明します。
「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」の報告時期・報告期限について
今回の法改正の施行日は令和6年4月1日となっています。しかしながら、現在のところ(令和6年11月5日時点)、このデータを入力する「介護事業財務情報データベースシステム」自体が稼働されていないのです。
この「介護事業財務情報データベースシステム」の稼働は、現在のところ「令和7年1月以降」とされているため、事業者が実際に当該システムへの報告、入力可能期間は、「令和7年1月中~令和7年3月31日」となっています。
つまり、事業者が実際に当該システムへの報告、入力可能期間は、以下のア・イのとおり取扱いが異なるのです。
【アの期間】
令和6年3月31日~令和6年12月31日までに会計年度が終了する報告
報告期限は、「令和7年3月31日」まで。
ただし、上記アの期間の報告については「介護事業財務情報データベースシステム」の稼働が、現在のところ「令和7年1月以降」とされているため、 事業者が実際に当該システムに入力可能期間は、「令和7年1月中~令和7年3月31日」となります。
なお、この取扱いは、介護事業財務情報データベースシステムが稼働する初年度としての取扱いとなり、次年度以降はイの取扱いとなります。
【イの期間】
令和7年3月31日~令和7年12月31日までに会計年度が終了する報告
報告期限は、「毎会計年度終了後、3月以内」まで。
次年度以降、つまり上記イについて、具体例を挙げると、令和7年3月31日に会計年度が終了する場合には報告期限は「令和7年6月30日」となります。また、令和7年12月31日に会計年度が終了する場合には、報告期限は「令和8年3月31日」となるということです。
(注1)このブログでは以下の内容を中心に説明します(介護最新情報Vol.1297参照)。
・介護保険法第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査および分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について
・介護保険法第115条の44の2に基づく介護サービス情報の報告及び公表に係る制度に関するシステムの運用開始に向けた対応等について
(注2)なお、令和6年8月20日付け「介護サービス事業者経営情報の報告等に関するQ&A」の発出について」(介護最新情報Vol.1305)が発出されており、運用にあたっては本通知を参考にしてください。
現時点(令和6年11月5日時点)で事業者が準備したほうが良いこと
実は、現時点(令和6年11月5日時点)で事業者がやることは、極端なこと言うと「ありません」。
しかしながら、事業者として「介護事業財務情報データベースシステム」に入力するまでに準備したいという事業者の方々であれば、以下を準備したほうが良いと思います。
【現時点、事業者が準備した方がよいこと】
①GビズIDアカウントの作成
②報告の単位 原則、介護サービス事業所・施設単位。
ただし、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合など、やむを得ない場合については、法人単位で報告しても差し支えない。
まとめ
前々回でのブログを、なぜ書こうと思ったかというと、私のクライアントの運営指導での立会いにおいて、行政機関と事業者のやり取りの中で「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」の話と「介護サービス情報公表制度における財務状況の公表」の話が混在してしまっているようなやり取りを目にしたからでした。
これを受けて、私は「介護保険最新情報Vol.1297(令和6年8月2日)」に掲載されていた通知である「介護保険法第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について」を基礎として、今一度介護保険法、これに関する政令・省令・通知を細かく確認しました。
また、併せて他の方々のブログも確認しましたが、この論点に言及しているブログが存在しなかったのです。
こうしたことから前回のブログ「最新 令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務を理解していますか?」を書きましたが、全てを盛り込もうとしたため、ブログとしては非常に長くなり、かつ内容が難しくなってしまいました。
よって、前回のブログを3回で分割し、「事業者は何をしなければならないのか」を意識して、分かりやすく説明を行うこととしました。
前回のブログでは、「令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務には2種類あります!」として、Aの話である「介護サービス事業者の経営情報及び分析等」と、Bの話である「介護サービス情報公表制度における財務状況の(財務状況の公表)」について、それぞれの目的を示しました。
また、今回のブログでは、現時点(令和6年11月5日時点)で、介護サービス事業者の義務を示しました。
なぜ、ここまで私が拘るのかというと、多くの介護事業者が、その制度趣旨の理解や取扱いを間違えてしまうことにより、「余計な仕事を増やしてしまうことを避ける」ということからです。
事業者として、法に基づきやるべきことをしっかりやって、無駄な負担となることはやめましょう!
今後も、このテーマにつきまして情報収集含め、しっかりと追っていこうと思いますので、引き続きブログを楽しみにしていてください。
最後まで、ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。