(介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等、介護サービス情報公表制度について)
皆さん、こんにちは。元有料老人ホームの施設長を担当していた税理士・行政書士の山田勝義です。
前回のブログでは「最新 令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務を理解していますか?」をアップしましたが、如何でしたでしょうか。
このブログを書き始めた時、「極力分かりやすく」を心掛けましたが、原理原則を貫いたため非常に長く難しいブログいなってしまいました。
よって、今回から前回のブログを3回で分割して、「事業者は何をしなければならないのか」を意識して、分かりやすく説明を行いたいと思います。
では、今回のブログでは、「令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務には2種類あります!」として説明を始めます。
この事業者の義務の2種類(AとB)の法律施行日はいつから?
今回の事業者の義務の2種類(AとB)の法律施行日はいつからでしょうか。
これらについて、 法改正の対応について経過期間の適用はなく、すでに令和6年4月1日から施行されています。
よって、この対応ができていなければ、原則として事業者として理論上「法律違反」であり、かつ運営指導での指導対象ということになります。
この点については、次回以降のブログにて、現時点で事業者として対応すべき事項を明確にしますので、そちらでご確認ください。
事業者の義務の2種類(AとB)を明確にします!
今回のブログにもありますとおり「令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務には2種類あります!」として、この2種類を明確にします。
A 介護サービス事業者の「経営情報の調査及び分析等」
B 介護サービス情報公表制度における「財務状況の公表」
ついつい、この標題を見ると従来までの「介護サービス情報公表制度」について対応すれば良いのではないか、とも思えてしまうのですが、上記のとおり Aの話とBの話は別のこと!なのです。
念のため、Aの話である「介護サービス事業者の経営情報及び分析等」と、Bの話である「介護サービス情報公表制度における財務状況の(財務状況の公表)」の法的根拠を以下のとおり示します。
A 介護サービス事業者の「経営情報の調査及び分析等」
根拠法☞介護保険法第115条の44の2
B 介護サービス情報公表制度における「財務状況の公表」
根拠法☞介護保険法第115条の35
こうすると根拠法も違うので、介護事業者は、介護サービス事業者の情報公表に関する義務には「2種類」あることの理由が分かったと思います。
なぜ、事業者の義務が2種類(AとB)ある目的は何か?
前項のとおり、「根拠法が異なるから」というのもひとつの明確な答えでしょう。しかしながら、本項では事業者の義務が2種類(AとB)ある目的を明示したいと思います。
では、まずAの話である「介護サービス事業者の経営情報及び分析等」を行う目的は次のとおりです。
【Aの目的】
・介護サービス事業者の経営情報の収集及びデータベースの整備
・収集した情報を国民に分かりやすくなるよう属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表する制度を創設
・3年に1度の介護事業経営実態調査を補完する趣旨
・地域における介護サービスの確保についてデータを集計し利用することが原則であり、個別の事業所等としてのデータを利用するものではないこと
つまり、上記目的を踏まえると「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」は、 都道府県知事が地域において必要とされる介護サービスを確保するため介護サービス事業者経営情報について調査及び分析を行い公表するものなのです。加えて、厚生労働大臣が、当該情報を収集し、国民に情報提供、必要な施策を講じるために行うものであることが分かります。
次に、Bの話である「介護サービス情報公表制度における財務状況の(財務状況の公表)」を行う目的は次のとおりです。
【Bの目的】
・「事業所等の財務状況」については、すでに「社会福祉法人」や「障害福祉サービス事業所」で実施されていること
・介護サービスの利用者が適切かつ円滑に介護サービスを利用する機会を確保するために公表されること
・利用に先立ち、利用者は事業所の財務状況を確認することが可能となる
・公表にあたっては、原則は「事業所又は施設単位」とする。
つまり、上記目的を踏まえると、【図2】の「介護サービス情報公表制度における(財務状況の公表)」は、従来からの介護サービス情報の公表を行ってきましたが、これに加え、 新たに「事業所の財務状況」が追加され、利用者は利用する事業所の財務状況を確認することができるということなのです。
ここまで、私がしつこく介護サービス事業者の情報公表に関する義務には2種類あるとして説明し、そして根拠を示しました。
よって介護サービス事業者の皆様は、ここまでで情報公表に関する義務が「2種類ある」ということは理解できたのではないでしょうか。
まとめ
前回でのブログを、なぜ書こうと思ったかというと、私のクライアントの運営指導での立会いにおいて、行政機関と事業者のやり取りの中で「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」の話と「介護サービス情報公表制度における財務状況の公表」の話が混在してしまっているようなやり取りを目にしたからでした。
これを受けて、私は「介護保険最新情報Vol.1297(令和6年8月2日)」に掲載されていた通知である「介護保険法第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る実施上の留意事項について」を基礎として、今一度介護保険法、これに関する政令・省令・通知を細かく確認しました。
また、併せて他の方々のブログも確認しましたが、この論点に言及しているブログが存在しなかったのです。
こうしたことから前回のブログ「最新 令和6年度 介護サービス事業者の情報公表に関する義務を理解していますか?」を書きましたが、全てを盛り込もうとしたため、ブログとしては非常に長くなり、かつ内容が難しくなってしまいました。
よって、前回のブログを3回で分割し、「事業者は何をしなければならないのか」を意識して、分かりやすく説明を行うこととしました。
なぜ、ここまで私が拘るのかというと、多くの介護事業者が、その制度趣旨の理解や取扱いを間違えてしまうことにより、「余計な仕事を増やしてしまうことを避ける」ということからです。
事業者として、法に基づきやるべきことをしっかりやって、無駄な負担となることはやめましょう!
今後も、このテーマにつきまして情報収集含め、しっかりと追っていこうと思いますので、引き続きブログを楽しみにしていてください。
最後まで、ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。