令和6年度介護報酬改定での科学的介護【LIFE】の歩みは遅くなったのか?

介護報酬改定

本日(令和6年1月15日)、第238回社会保障審議会介護給付費分科会が開催されました。今回の議論では、令和5年12月18日に開催された第236回社会保障審議会介護給付費分科会において提示された「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」を受け、パブリックコメントでの指摘事項を反映した形で、本日の分科会では「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正の主な内容について」の説明がなされました。

私は、この議論を傍聴しましたが、委員から手続き、結果等について概ね異論も無く、今後、各保険者等も介護報酬改定に伴う条例改正を行うための手続きに移ることとなります。

また、基準等の改正の主な内容が明らかになったことから、いよいよ具体的な介護報酬改定の内容(加算、単位数)が明らかになっていきます。

今回の報酬改定については、「医療・介護・障害」のトリプル改定ということで、それぞれの分野での連携が意識された改定になっていくのだと思います。ここで「介護」について着目すると、あくまでも私個人の私見ではありますが、今回の介護報酬改定は「静か目な改定」だなと感じています。

そのように感じる理由を、今自分の胸に問うてみると、介護業界でICTやロボットの活用と並んで注目されていたはずの、科学的介護【LIFE】(Long-term care Information system For Evidence)に対する情報の利活用に対する改定項目が、目立たないからだと感じています。これは科学的介護【LIFE】に対する「歩みが遅くなった」側面があるのでは、と私は思えてしまうのです。

では、科学的介護【LIFE】に対する情報の利活用、歩みが本当に遅くなったのでしょうか。今回のブログでは、この論点を整理してみようと思います。

LIFEの変遷を確認する

 介護では、科学的介護【LIFE】(Long-term care Information system For Evidence)が注目されていますが、ここで【図1】においてLIFEの変遷を確認したいと思います。

 【図1】を確認すると、2017年にVISIT(monitoring & Valuation for rehabIlitation ServIce for long-Term care)の運用開始こそが、現在のLIFEのまさに始まりでしょう。これにより、通所・訪問リハビリテーション事業所よりリハビリテーションの情報収集を開始され、翌2018年の介護報酬改定では介護報酬としてVISITが評価されました。

 2020年度からは、CHASE(Care,HeAlth Status & Events)の運用開始、全ての介護サービスを対象として高齢者の状態やケアの内容等に関する情報収集が開始されました。

【図1】

出典:令和5年8月30日 社会保障審議会介護給付費分科会(第222回)資料5  P9より引用

 そして2021年度(令和3年度)の介護報酬改定時において、前述のVISITとCHASEが統合され、LIFE(Long-term care Information system For Evidence)の運用が開始、介護報酬においても新たな評価がなされました。

 では、次項では令和3年度介護報酬改定から今回の令和6年度介護報酬改定に至る直前の状況まで確認しましょう。

令和3年度介護報酬改定から令和5年度までのLIFEの導入状況を振り返る

令和3年度介護報酬改定以前の介護サービスについて、サービス提供に対する評価は「定量分析(数値による評価)というよりも定性分析(顔色や表情、感情をはじめとする評価)による」ことが主流であったと思います。

 そして令和3年度介護報酬改定においては、【図2】のとおり、各介護サービス類型において、本格的に科学的介護【LIFE】の導入が進みました。

 具体的には、「施設系」、「通所系」、「居宅サービス系(訪問除く)」、「小多機系」に一気に当該加算が導入されたのです。これは【図2】を確認すると特に「科学的介護推進加算」の部分に、ほとんど「〇印」が付いていることからも明らかです。

【図2】

令和3年3月12日 Vol.931 介護最新情報資料より掲載

 【図1】における科学的介護推進加算の設定状況(政策誘導)、そして科学的介護【LIFE】に対応しなければならないという事業者心理を考えると、【図2】のとおり、LIFE関連加算を算定している事業所の割合は、きれいに「右肩上がり」であることが読み取れます。

 特に「施設系」のLIFE関連加算の算定の事業所の割合は高く、令和5年4月時点で、すでに介護老人保健施設は80%弱の算定、介護老人福祉施設でも70%弱の算定状況となっていることが分かります。

 もちろん施設系の事業所が政策誘導に乗る形で科学的介護推進加算をはじめとするLIFE関連の加算の算定状況は、もちろん介護報酬を上げるためという理由もあるでしょうし、LIFEに関係する情報の利活用に早期に対応しなければならないという考えもあるからなのでしょう。

【図2】

令和5年8月30日 222回社会保障審議会介護給付費分科会資料より掲載

 これらの状況を受けて、令和6年度介護報酬改定では、【図1】にLIFEの活用等が要件として含まれている加算一覧において示されている「類型以外の介護サービス」についても、当然LIFEの活用等が想定されていたのですが、結果として、これは「見送り」となりました。

 では、次項では、どの類型の介護サービスについて、LIFEの活用等が要件として含まれるのかを示したいと思います。

令和6年度介護報酬改定ではどの類型の介護サービスでLIFEの利活用を考えていた?

 私も税理士・行政書士・宅地建物取引士としての仕事以外に「介護コンサルタント」として、クライアントの皆様に対し、研修等を通じて情報提供を行っています。

実は、令和6年度介護報酬改定では、以下の介護サービスでLIFEの活用等が要件として含まれる加算が設定されるものと想定し、研修を行っていました。

【介護報酬改定でLIFEの活用等が要件として含まれる加算を想定していたサービス】

 ・訪問介護
 ・訪問看護
 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
 ・居宅介護支援

では、なぜ令和6年度介護報酬改定では、以下の介護サービスでLIFEの活用等が要件として含まれる加算が、上記サービスにおいて導入されると想定していたのかを以下に示します。

これは、令和5年3月16日に開催された第215回社会保障審議会介護給付費分科会において、令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の結果における資料が提示されました。

★「LIFEを活用した取組状況の把握及び訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究(結果概要)」

  この上記、調査研究資料では、大きく論点として以下の2点が挙げられたのです。

①LIFE登録済事業所について、入力及び活用に事業所負担の推移、フィードバックの利活用の状況、効果及び課題等について

次回介護報酬改定において、モデル事業を通じ、「訪問系サービス」・「居宅介護支援」におけるLIFEの活用可能性や課題等について

上記①については、LIFE関連の加算算定にあたり、事業所におけるデータ入力に負担があるという議論を踏まえ、その調査や課題抽出を行ったのだと思われます。

そして②については、正にこのモデル事業を通じて「訪問系サービス」・「居宅介護支援」について、令和6年度介護報酬改定では、これを導入することを当然想定した調査であったことでしょう。

また、LIFE関連の加算算定を想定する類型の事業者(モデル事業)に対し、アンケートとして「利用者ごとのLIFE項目の評価」、「LIFE関連項目のデータの入力時間」、「フィードバック表の活用」、「活用したい評価項目等」を依頼・集計していました。

そして、【図3】のとおり、類型ごとにアンケート結果を纏めた形での報告がなされました。

【図3】

令和5年3月16日 第215回 社会保障審議会介護給付費分科会資料より掲載

 このような形で、LIFEを活用した取組状況の把握のうえ、「訪問系サービス」・「居宅介護支援事業所」として、LIFEの活用可能性の検証に関する調査研究がなされたという事実を踏まえると、当然令和6年度介護報酬改定において、当該類型においてLIFE関連の加算が導入されると考えるのが普通でしょう。

 しかし、令和6年度介護報酬改定においては「そうならなかった」のです。では、次項において、その理由について私なりの推測の述べたいと思います。

令和6年度介護報酬改定において科学的介護【LIFE】の歩みが遅くなったのか?

 前提として、「経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)」において、レセプト・特定健診情報等に加え、医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めるとともに、PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備するとして、すでに閣議決定されています。

これは【図4】のとおり、現在、介護情報を介護事業所等の関係者間で「電子的に共有できる」介護情報基盤の整備に向けた検討が進められており、共有する情報の具体的な範囲等は「介護情報利活用ワーキンググループ」において検討され、LIFEについても共有する情報のひとつとして想定されています。

【図4】

出典:令和5年11月27日 社会保障審議会介護給付費分科会(第232回)資料4  P21より引用

 前述のとおり、すでに閣議決定経ており、今後科学的介護【LIFE】に関する様々な準備・手続きは粛々と行われていくことは間違いありません。しかし、前項で掲載した「LIFEを活用した取組状況の把握及び訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究(結果概要)」が行われた事項まで、できれば令和6年度介護報酬改定に反映できたらと、ひとつの目標を設定していたのだと思います。しかし、結果として「その目標にまで辿り着けなかった」のが実情なのでしょう。

では、なぜその目標に辿り着けなかったのか、つまり令和6年度介護報酬改定において科学的介護【LIFE】の歩みが遅くなったのかを資料から説明したいと思います。

 ここで、その理由として令和5年11月27日社会保障審議会介護給付費分科会(第232回)資料4の「論点及び対応案」を確認したいと思います。論点として以下の3つが挙げられています。

【論点1】科学的介護の推進に向けた入力項目の見直し及びフィードバックの充実について
【論点2】自立支援・重度化防止を重視した適切な評価の見直しについて
【論点3】LIFE 関連加算の対象となるサービスの範囲について

★【論点1】についての課題と対応案

ア.LIFEへのデータ入力について

【課題】
令和3年度介護報酬改定において、LIFEへのデータ提出等を要件とする加算を創設したところです。LIFEは、複数の加算で同様の項目を重複して入力が必要であることや同一の項目であるにもかかわらず、加算によって評価方法が異なるものがあるなど、入力負担に係る課題が指摘されている。

【対応案】
介護情報基盤の整備を見据え、入力項目の 定義の明確化や、複数の加算で重複している項目の選択肢を統一し重複入力を求めない等、LIFEの入力項目を見直すことや、システムの利便性向上に取り組む。また、入力項目の見直しに当たっては、入力負担に配慮した上で、フィードバックを充実させる観点から新たな項目を盛り込むことについても検討する。

イ.LIFEへのデータの提出頻度について

【課題】
LIFEへのデータ提出頻度についても加算ごとに規定されているため、複数の加算を算定する場合に事業所におけるデータ提出頻度の管理が煩雑となっている。また、同一の利用者が複数の加算を算定する際、加算ごとにデータ提出のタイミングを管理する必要があり、こうしたことも入力負担に係る課題として指摘されている。

【対応案】
LIFEへのデータ提出頻度について、少なくとも3か月に1回に統一する。同一の利用者に対して複数の加算を算定する場合に、算定する加算のデータ提出のタイミングを統一できるようにするため、一定の条件の下で、初回のデータ提出に猶予期間を設ける。【図5】として、LIFEへのデータ提出頻度の見直し(イメージ)を挙げる。

【図5】

出典:令和5年11月27日 社会保障審議会介護給付費分科会(第232回)資料4  P17より引用

ウ.LIFEからのデータのフィードバックについて

【課題】
LIFEに提出されたデータを基に事業所別及び利用者別にフィードバックが行われていますが、全国集計値だけではなく、地域別等のより詳細な層別化など、フィードバックの充実が求められている。

【対応案】
介護事業所におけるPDCA サイクル推進に向けてフィードバックを充実させる観点から、事業所フィードバックにおいては自事業所と平均要介護度が同じ事業所との比較や、利用者別フィードバックにおいては同じ要介護度の方との比較、全国集計値だけでなく地域別等のより詳細な層別化、複数の項目をクロス集計すること等の見直しを行う。

★【論点2】についての課題と対応案
ア.褥瘡マネジメント加算

【課題】
令和3年度介護報酬改定において、褥瘡マネジメントや排せつ支援において新たなアウトカム評価が導入されました。褥瘡マネジメントについては、褥瘡のリスクのある者に褥瘡の発生がないことを評価していますが、サービス利用開始時点で褥瘡がある者の約5割が、サービス利用開始後に治癒しているにもかかわらず、こうした場合に対する評価がない。

【対応案】
アウトカムの視点を踏まえた評価を推進する観点から、褥瘡の発生がないことだけでなく、サービス利用開始時点において褥瘡がある利用者について、サービス利用開始後に褥瘡が治癒したことについても、新たなアウトカムとして評価を行う。

イ.排泄支援加算

【課題】
排せつ支援については、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善することや、おむつ使用ありからなしに改善していることを評価しているが、サービス利用開始時点で 尿道 カテーテルを使用している利用者の約2割が、サービス利用開始後に 尿道 カテーテルの使用がなしになっているにもかかわらず、こうした場合に対する評価がない。

【対応案】
アウトカムの視点を踏まえた評価を推進する観点から、排せつの状態の改善及びおむつの使用の有無だけでなく、尿道カテーテルの使用の有無についても、新たなアウトカムとして評価を行う。

ウ.ADL維持等加算

【課題】
自立支援・重度化防止に向けた取組を一層進めていく観点から、令和3年度介護報酬改定において対象サービス及び算定単位数を拡充したADL維持等加算について、算定率は1割程度となっている。当該加算については、クリームスキミング防止の観点から様々な要件が設定されているところだが、算定要件が複雑である等の課題が指摘されている。

他方で、算定要件の中には、ADL利得値への影響が少ないものがあることが明らかとなっている。

 また、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件については、ADL利得を2以上としているが、サービス種別によっては加算を算定している事業所の過半数がADL利得2以上を満たしている。

【対応案】
利用者のADLの維持・改善により取り組む事業所を評価する観点から、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件で設定するADL利得のカットオフ値について見直す。

また、自立支援・重度化防止に向けて、利用者のADLを良好に維持・改善する事業所を評価する観点及び、算定要件が複雑である等の指摘を踏まえ、ADL利得値に影響を与えない範囲で、要件の簡素化を行う。

エ.自立支援促進加算

【課題】
入所者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、医師の関与の下、リハビリテーション・機能訓練、介護等を行う取組を推進するため自立支援促進加算が創設された。

当該加算では、医学的評価も踏まえた自立支援に係るケアを実施することを目的とし、特に自立支援のための対応が必要である者ごとに多職種で共同して支援計画を策定することが求められており、当該加算を算定している半数以上の施設において、入所者の活気の向上や廃用性機能障害の改善などの効果が得られている。

他方で、当該加算のLIFEへの入力項目の有用性については様々な意見があり、また、評価しにくい、データ収集の負担が高い等の指摘もある。

【対応案】
当該加算の趣旨を踏まえた入所者の尊厳を保持し自立支援・重度化防止の取組をより推進する観点から、LIFEへの入力項目の有用性や負担感を踏まえ、個別ケアを重視した支援計画の立案により資する評価項目に見直す。

★【論点3】についての課題と対応案

ア.LIFE 関連加算の対象となるサービスの範囲について

【課題】
令和3年度介護報酬改定に関する審議報告において、訪問系サービス等のLIFEの対象とならなかったサービスや、居宅サービス全体のケアマネジメントにおけるLIFEの活用を通じた質の評価の在り方等について、今後検討していくべきであるとされた。

 LIFE関連加算の対象ではない事業所を対象に試行的に LIFE を活用したところ、統一した指標の活用によるケアの質向上等に期待する意見もある一方で、同一の利用者に複数の事業所がサービスを提供していることから、各サービスがどのような項目を評価すべきか、また、それに応じて各サービスをどのように評価すべきか検討すべきである等の課題も指摘された。

 LIFEについては、論点①で述べたとおり、項目の見直しや負担軽減など取り組むべき課題がある。こうした状況を踏まえ、LIFE 関連加算の対象となるサービスの範囲について、どのように考えるか。

【対応案】
LIFEのさらなる推進に向けて、今回改定においては、項目の見直しや負担軽減、フィードバックの改善等に取り組むこととし、対象サービスは拡大しない

 その上で、今回改定における対応も踏まえ、現在対象となっていない訪問系サービス等に適した評価項目や、同一の利用者にサービスを提供している複数の訪問系事業所等について、各サービスをどのように評価すべきか等について、引き続き検討する。

本項で私は、「令和6年度介護報酬改定において科学的介護【LIFE】の歩みが遅くなったのか?」と銘打ちましたが、正確に言うと、これらの論点に対応案をしっかりと講ずることにより、今後科学的介護【LIFE】の歩みをしっかりと行うため、令和6年度介護報酬改定では、「敢えてその歩みを緩めた」のだと思います。

令和6年度介護報酬改定における科学的介護【LIFE】の現状のまとめ

前提として、「経済財政運営と改革の基本方針2023」において閣議決定を経ている(令和5年6月16日閣議決定)ことからも、今後も、介護分野における科学的介護【LIFE】の取組みは確実に推進されるのでしょう。

しかし、科学的介護【LIFE】の現時点の運用状況を踏まえると、社会保障審議会介護給付費分科会の資料から、現に【論点1】での課題として「LIFEへのデータ入力」、「LIFEのデータ提出頻度」、「LIFEのデータのフィードバック」、【論点2】としてLIFE関連加算の「実状を踏まえた評価の見直し」など、いくつかの課題があることが分かります。

この【論点1】、【論点2】の課題を受けた対応案をしっかりと講じることによって、はじめて【論点3】の訪問系サービスを含む、LIFE関連加算の対象となるサービスの範囲について拡大していくことができるはずです。

 つまり、科学的介護【LIFE】のさらなる推進に向けて、令和6年度介護報酬改定では「敢えて項目の見直しや負担軽減、フィードバックの改善等に取り組むこととし、対象サービスは拡大しない」としたのだと思われます。

まとめ

医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めることは、自らの健康づくりに活用できる仕組みの整備に繋がります。

そして、科学的介護【LIFE】をはじめとする、介護情報を介護事業所等の関係者間で「電子的に共有できる」介護情報基盤の整備は、事業者にとっても、また介護サービスの利用者にとっても、きっと有用な情報となることでしょう。

しかし、今回のブログのまとめとして、私が述べたいことは、この「データの利用の仕方」なのです。単に、データ、つまり介護について「定量分析」を行えば良いのか、という話です。

例えば、医療と介護を比較すると、医療の主な目的は「治療」であり、治療を終えれば一先ず医療サービス終了ということと原則はなるはずです。この「治療」について、医療サービスが継続、または終了されるひとつの判断は、様々なデータ等、つまり結果定量分析による側面が大きくなるのだと思います。

もちろん私も前述のとおり、科学的介護【LIFE】の有用性を完全に否定している訳ではありません。反面、介護において「定量分析」に「明確な判断基準として置いて良いものか」とも思ってもいます。

私は介護の目的を、最後まで自分らしく「生活」を送ることであると考えています。

このように考えるのであれば、介護というものを科学的介護【LIFE】、つまり「定量分析」で表現することについて、難しい側面が横たわっているものと感じています。

それは介護を受ける方々が自分らしく尊厳を持って、最後まで自分らしく生活を行うためには、それぞれの「心の豊かさ」、つまり価値観や感情(喜び、笑顔)が大切にされなければならないことからです。

このことから、介護において「定量分析」が万能ではなく、個人の価値観や感情(喜び、笑顔)に重点を置く「定性分析」も充分配慮されることが大切であると考えています。

次回のブログもお楽しみに。

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